ガンを予防する食生活は?
ガンは細胞が無秩序に増殖し腫瘍をつくり、離れた臓器に転移して新たに増殖、最後に死に至る病気です。ガンは細胞内の遺伝子、DNAの異常によって発生するといわれます。正常な細胞にはガン化を押し進めるガン遺伝子があっても、発ガンを抑えるガン抑制遺伝子が100種ほどあり、普段は細胞機能を正常に保つために働いています。ところが発ガン物質やウイルス、放射線などの発ガン要因の刺激を受けると、ガン遺伝子が活性化、または発ガン抑制遺伝子が破壊損失され、細胞のガン化がはじまります。
細胞のガン化は複数の遺伝子の異常が一定順序で段階的に関わります。体にガンの症状が現れるにはガン細胞ができてから、さらに10年単位の長い時間が必要です。
最近、ガンの発生に、活性酸素などフリーラジカルが関与することが判明。発ガン要因が体内に活性酸素をつくり、遺伝子の突然変異や、ガン遺伝子の活性化、あるいはガン抑制遺伝子の不活性化が起こります。さらに発ガン要因が刺激を与え、細胞のガン化を促進すると説明されています。
体は本来、活性酸素などフリーラジカルの害を防ぐ抗酸化酵素を持っています。またビタミンEやC、β-カロチンなど抗酸化物質を食事から摂取し、活性酸素に対抗しています。何かの理由で抗酸化酵素が働かず、抗酸化物質が不足すると、細胞のガン化が進みやすいといわれます。ガン予防には発ガン性物質を避けると共に、抗酸化物質を含む食品を摂ることが大切です。ビタミンC、ビタミンE、β-カロチンなどのビタミン類、セレンや亜鉛などの抗酸化ミネラルを摂取するには、野菜や果物をたっぷり、肉や魚、内臓、乳製品や卵、海草や木の実など、さまざまな食品を食べること。タンパク質、脂質、ビタミンやミネラル、食物繊維もほどよく含んだ栄養的にバランスの良い食事が、ガン予防につながるといえるでしょう。
発ガン要因には@生活環境 A食品中の発ガン化学物質――タール、煙草の煙や排気ガスに含まれるベンツピレン、食品中の化学物質、カビ毒の一種アフラトキン、建築材などのアスベストなど B発ガン性ウイルス――肝炎ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、ヒトパピローマウイルス(子宮頸部ガン)、エプスタイン―バー・ウイルス(上咽頭ガン)、ヒト免疫不全ウイルス(カポジ肉腫などエイズと関連)の5種 C放射線、紫外線など――皮膚ガン(放射線と紫外線)、白血病、甲状腺ガン(放射線)などがあります。
フリーラジカル
活性酸素などにより電子を奪われ不安定になった物質。体内では活性酸素で酸化された脂質=過酸化脂質が問題。次々と電子を奪い、他の物質を酸化させるため、老化や細胞のガン化に関与するといわれます。