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コレステロール値はできるだけ低い方がいい?

「動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの成人病はコレステロールが原因。血清コレステロール値は、低いほど健康的」といまだに信じる人がいるのは残念なことです。
多くの疫学的調査の結果、現在は「コレステロール値は多過ぎても少な過ぎても健康に良くない」と考えられています。
世界一の長寿グループといわれるハワイ日系人の調査を見てみましょう(図1)。45〜64歳の外国人と混血のないハワイ日系人男性8000人の、コレステロール値と9年間の成人病死亡率を調べたところ、コレステロール値が高いほど、ガンの死亡率は少なくなっていました。また、狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患の死亡率は、コレステロール値が高いほど増え、240mg/qを境に急増します。脳卒中の死亡率は、ガン同様コレステロール値が高いほど少ないものの、270mg/qを越すと増えています。肺炎などの感染症の死亡率はコレステロール値が低いほど高いと報告されています。

日本人の標準コレステロール値は130〜220mg/qとされていますが、東京都老人総合研究所が、日本の中でも長寿者が多い東京都小金井市在住の高齢者を調べたところ、70歳の平均コレステロール値は女性220.8mg/q、男性200mg/qとかなり高値でした。
そこで同じ調査でコレステロール値を70歳時点で4分類し10年間の死亡率を調べると、コレステロール値が男性で190〜219mg/q、女性で220〜249mg/qの群が生存率が高いという結果がでました(図2)。このことは少なくとも長寿という面では、コレステロール値は低くない方が長生きであることを示しています。

コレステロール値は高過ぎるのも、低過ぎるのも良くないのです。日本人の場合は、コレステロール値が低いと脳卒中が増える傾向が強く、むしろそちらの方が心配です。
また、アメリカの食生活指針をそのまま、日本人に当てはめるような考え方にも無理があります。たとえば、血清コレステロール値が同じでも、日本人よりアメリカ人の方が心筋梗塞を起こしやすいといわれます。コレステロール値だけが成人病の危険因子ではないのです。野菜や穀類、魚も食べる日本人の食生活と、脂肪や砂糖の消費量が膨大なアメリカ人の食生活では、摂取エネルギーや脂肪酸の摂取割合、食物繊維や抗酸化物質などの摂取量に差がでるのは当然です。これらの食文化や環境の違いも考慮しなければなりません。
近年、世界各地で食事療法や薬物でコレステロール値を下げ、虚血性心疾患がどの程度減るかを調べる研究が行われました。その結果、虚血性心疾患は減ったものの、自殺、ガン、事故死が増え、死亡者総数が増えたと報告されています。また、コレステロール値が低いと、うつの発生率が高まり、年齢とともにその傾向が強まるといわれます。これらのことからもコレステロール値はある程度のレベルを保つのが健康的で、低ければ低いほど良いと考えるのは、まちがいといえるでしょう。



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