フランス人に心筋梗塞が少ないのはなぜ?
欧米人に心筋梗塞が多いのは、脂肪の過剰摂取のためとされています。実際この二つは、正の相関関係にあります。ところが脂肪摂取量が多いにもかかわらず、フランスの心筋梗塞による死亡率は、欧米では最低レベル。ほぼ同量の脂肪を摂取するイギリスでは、心筋梗塞死亡率はフランスの2.5倍です。この現象は「フレンチ・パラドックス」と呼ばれ注目されています。
理由の一つとされるのが、フランス人が好む赤ワイン。赤ワインに含まれるポリフェノールという抗酸化物質が、血液中の脂肪の酸化を防ぎ、動脈硬化や血栓生成を予防すると思われます。
また、内臓類を食べる習慣も理由にあげられます。フランス料理によく登場する牛や豚のタン(舌)には、コレステロール排出作用や、交感神経の働きを調節して血圧上昇や心拍数の急増を抑える働きがある、タウリンが豊富です。またレバーは、脂質の酸化を防ぐ銅を多量に含みます。
加えてフランスでは野菜の摂取も比較的多く、食事をゆったり楽しむ習慣もあり、これらの食習慣が重なって心筋梗塞を防ぐと推測されます。