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食肉に多く含まれる脂肪酸の特徴は?

食肉には飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸が多く含まれ、体内で1gあたり9kcalのエネルギー源となり、活動力の元になります。一方で、飽和脂肪酸は肥満や高脂血症を招くと敬遠されてきました。最近の研究で、飽和脂肪酸の中にもコレステロール降下作用があるものが存在することが判明。肉の脂肪酸も体にいいらしいと見直されはじめています。

食肉のステアリン酸は LDLを減らし,HDLを増やす

食肉に多い飽和脂肪酸のステアリン酸は、肝臓にあるLDLレセプターの活性低下を回復し、結果的にコレステロール値を減少させることがわかってきました。また、国立栄養・健康研究所特別客員研究員の板倉弘重先生らは、ステアリン酸にはHDLを増やす効果があると報告しています(図12)。実験はアポAIというHDLの表面を被う水溶性タンパク質の遺伝子発現に、脂肪酸がどう影響するかを調べたものです。ステアリン酸、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸、多価不飽和脂肪酸n-6系のリノール酸、同じくn-3系のEPAの4種を調べた結果、ステアリン酸は他の脂肪酸の倍近い成績をあげました。HDL表面のアポAIは体の各組織の細胞からコレステロールを抜き取り肝臓に戻すのに不可欠な働きをしています。アポAIは遺伝子の情報に基づき肝臓でつくられるタンパク質ですが、その遺伝子の発現にステアリン酸は好影響を与え、そのため肝臓がアポAIを多くつくり、結果的にHDLが増えるというわけです。

ステアリン酸の他に食肉に含まれる飽和脂肪酸に、パルミチン酸があります。パルミチン酸は牛脂、豚脂のほか綿実油、大豆油、コーン油、オリーブ油、パーム油などに含まれています。1991年アメリカのK.C.ヘイズ博士らの研究はそれまでの「パルミチン酸はコレステロールを増加させる」という説を否定し、むしろ動脈硬化を抑制するHDLを増やすと報告しています。
さて、牛肉や豚肉に最も多く含まれるのは、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸です。このオレイン酸にもリノール酸を上回るLDLの低下作用が認められています。オレイン酸は肉や野菜、オリーブ油に多く含まれ、体内でステアリン酸からも合成されます。こうして見ると、食肉の脂肪酸は、血管の健康に好ましい作用を持つことがわかってきたといえるでしょう。最近は、リノール酸など多価不飽和脂肪酸の摂取過剰が問題になっています。多価不飽和脂肪酸は酸化されやすく、そのため動脈硬化や心疾患の危険因子となる過酸化脂質を生みやすいのです。その点、食肉は植物油や魚脂に比べ多価不飽和脂肪酸が少なく、過酸化脂質は生成されにくいのです。加えて食肉を食べればその脂肪と一緒に、脂溶性ビタミンの摂取も期待できます。
肉のおいしさはまろやかな風味とコク、なめらかな舌ざわりによるところが大きいもの。これらは脂肪の持つ特徴でもあります。加熱して溶け出した脂肪が肉本来のエキスを包み込み、ジューシーな深い味わいを与えます。脂肪ゼロの肉を想像してみてください。パサパサと乾いた肉のなんと味気ないこと! 食肉の脂肪が健康にいいというのなら、大いにそのおいしさを丸ごと味わおうではありませんか。



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