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体内で化学反応を行う「酵素」とは?

酵素にはたくさんの種類があり、その数はおよそ2,000種といわれます。これだけ種類が多くても、酵素には「一つ一つの酵素が、それぞれ特別な物質にだけ作用する」性質があり、これを酵素の特異性と呼んでいます。
酵素は表面に特定の物質とだけ結合する凹凸を持ち、そこで特定の反応相手(基質)を見分けます。基質となる相手を認識した酵素は、触媒作用により化学反応を起こして基質を変化させます。一つの酵素は常に一定の基質と反応し、一種類の化学反応だけを行うのです。
酵母がブドウ糖を分解してアルコールを生む過程を例にとりましょう。糖からアルコールに変わるには12種類の化学反応が見られ、それぞれの化学反応には別々の酵素がかかわっています。12の化学反応には12の酵素が必要というわけで、これらの酵素はすべて純粋なタンパク質として酵母の中に入っています。
酵母のような微生物とくらべると、ヒトの体は巨大な化学工場のようです。あらゆる生命活動のために何千種という化学反応が同時に進行し、何千種もの酵素が日夜働いています。体内の化学反応は穏やかに、正確に、素早く行われます。しかも実験室と違い、強い酸もアルカリも使わず、熱を加える必要もありません。摂氏約37度、pHは中性付近のごく穏和な条件で、生体内の化学反応は行われているのです。
生体内の化学反応は酵素なしの場合とくらべ、10の7乗から10の10乗の速さで行われていると思われます。酵素が1分間に合成、あるいは分解する分子の数は100〜1万にのぼり、中には4億もの新しい物質をつくり出す酵素もあるとか。これらの化学反応は酵素の特異性により基質を確実に選び分け、同時に起こる膨大な数の化学反応も混乱せずに、生体内で整然と行われています。

消化の過程と酵素
肉を消化するにはまず胃の中でペプシンという消化酵素が分泌され、肉のタンパク質が大まかに分解されます。小腸では膵臓から分泌されるトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カルボキシペプチターゼなど酵素の作用でタンパク質はアミノ酸やアミノ酸が2〜3個つながったオリゴペプチドになり、小腸の上皮粘膜から吸収されます。この過程を酵素なしで行ってみると、まず肉を強い塩酸につけ、そのまま24時間、100度以上の熱をかけ続ける必要があります。酵素はこれを酸も熱もなしに、体内で素早く行ってしまうのです。



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