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「収縮タンパク質」はどんな働きをする?

動物の動きは筋肉の収縮により起こり、これを担うのが収縮タンパク質です。筋肉は筋線維(筋細胞)という細長い円錐系の細胞の集まりで、中には収縮性を持つ線維タンパク質の筋原線維がつまっています。電子顕微鏡で見ると筋原線維にはフィラメントという微細な線維が並びます。太いフィラメントはミオシン、細いフィラメントは主にアクチンというタンパク質で、この二つが筋肉中のタンパク質の80%を占めています。
筋肉に刺激が伝わるとミオシンでできた太いフィラメントの間にアクチンで構成される細いフィラメントが滑り込み筋肉は収縮します。ミオシンの表面には多くの突起があります。ボートでいうとミオシンの突起がオール、細かいフィラメントのアクチンが水で、ミオシンのオールがアクチンの水を引き寄せ、その後ミオシンは元の位置に戻ると想像できます。これを繰り返して筋肉は収縮・弛緩しています。
ボートをこぐのと同様、筋肉の収縮にもATPというエネルギーが必要です。ATPはミオシンの突起部分で分解され、エネルギーとなり、細いフィラメントのアクチンをミオシンの方に滑らせます。
実際には神経から筋肉収縮の指令が伝わると、筋線維中にある筋原線維表面にある筋小胞体にその刺激が届きます。筋小胞体にはカルシウムイオン(Ca2+)があり、刺激が届くとこれを放出します。放出されたカルシウムイオンは細いフィラメント中のアクチンとは別のタンパク質、トロポニンと結合します。トロポニンの変化は同じ細いフィラメント中のトロポミオシンとアクチンに伝わり、太いフィラメントのミオシンと結合しやすい状態になります。一方ミオシンはATPを分解してエネルギーを獲得し、細いフィラメントの結合部位と連結し、それをたぐり込みます。このようにして筋肉を収縮させるというわけです。
細かい指先の動きからダイナミックなスポーツまでが、収縮タンパク質の精密な働きにより営まれているのです。

ATP
アデノシン三リン酸。細胞のエネルギーとなり、細胞活動に不可欠な物質。分解するときに1モルあたり8kcal もの大きなエネルギーを放出し、細胞がエネルギーを必要とするとき、燃料として働きます。

トロポニン
アクチン同様、筋肉の細いフィラメントにあるタンパク質で、アクチン7分子に対し1分子の割で存在します。



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