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アトピーなどのアレルギー疾患と食べ物の関係は?

厚生省が1992から1996年に行った「アレルギー疾患の疫学に関する研究」によると、乳幼児28.3%、小中学生32.6%、成人30.6%と、およそ国民の3人に1人が、なんらかのアレルギー疾患を持っていることがわかりました。
とくにアトピー性皮膚炎に悩む人は20年ほど前から急増、幼児だけでなく成人の患者も多くなっています。また、花粉症に悩む人も激増しています。
アレルギーは体の中に自己と違うものが侵入した時に、それを排除しようとする免疫反応の一種。本来は体を防御するシステムが、自分自身に向けられたものといえます。
アレルギーを起こす物質(アレルゲン)は年齢により偏りがあり、0〜2歳では卵や牛乳、2 歳以降は花粉やダニが増えます。その現れ方も乳児にはアトピー性皮膚炎が多く、次に気管支喘息、アレルギー性鼻炎と順次変化していきます。小児期に食品アレルギーを起こすと、成長に従いダニや花粉など別の物質でもアレルギーを起こすことがあり、これをアレルギーマーチと呼びます。つまり小児期に食品アレルギーを起こさせないことは、非常に大切なことなのです。

乳児期の対策がその後のアレルギーに影響

アレルギーを起こす食品には卵、牛乳、大豆など、タンパク質を含む食品が多く見られます。これは生後すぐに母乳を与えずに栄養価の高い食品を与えたことと関連すると考えられています。とくに最近のアレルギー疾患の急増には @母乳栄養児が減り、人工栄養児が増えた A動物性タンパク質摂取量の増加 B食品添加物などの摂取増が理由としてあげられています。
アレルギーは自分と違う物質が体に入った時に起こります。牛の乳でできた人工乳は、赤ちゃんには異質な物質なのでアレルギーが起きやすく、自分にとって異質ではない母乳ならアレルギーは起きません。
一方、動物性食品摂取の増加は免疫力を高めて感染症や脳卒中を激減させ、寿命を延ばす役割を果たしました。ところが、免疫系のしくみがうまく働かない人には、食品アレルギーの増加をもたらします。
さらに、食品添加物や農薬など食品以外の物質もアレルギーの増加に関連するといわれますし、鼻や気管の粘膜を傷める大気汚染、免疫系に大きな影響を与えるストレスの増加など環境の変化も、アレルギーと関連すると考えられます。
食品アレルギーでは卵や牛乳、大豆などの食品がアレルゲンと認識され抗体が作られ、アレルギー反応が起きます。けれども普通、卵や牛乳を食べても栄養にこそなれ、アレルギーは起きません。これは消化吸収を行っている腸管の免疫系が全身の免疫系に働きかけるからで、これを腸管免疫寛容と呼んでいます(Q79参照)。アレルゲンとなりがちなタンパク質も腸管でアミノ酸に分解されてアレルギー反応を起こさなくなります。
食品アレルギーが0〜2歳の乳幼児期に起きるのは腸が未発達で、抗原であるタンパク質がアミノ酸に分解されぬまま腸管を通過するためと考えられます。成人のアレルギー反応も、食品の抗原が完全にアミノ酸に分解せず、一部が腸管を通して血中に移行するためと思われます。
アレルギー反応は遺伝的に免疫系が過敏であったり、異常がある場合に多いとされます。両親がそろってアレルギーなら、子供には腸管の機能が成熟するまで母乳を与え、アレルゲンとなる物質を除去することが大切です。アレルゲンになりがちな卵や牛乳などは、成長に不可欠なタンパク質を含むので、一方ではこれらの食品に含まれるアミノ酸を他の食品でバランス良く補う工夫が必要でしょう。
最近は乳児用粉ミルクでタンパク質の分子をあらかじめ細かく切り、アミノ酸やペプチドの形にし、腸管でアレルギーが起きないようにした製品もあります。両親共にアレルギーがあり、母乳で育てられない場合、こうした低アレルギー性人工乳を利用し、乳幼児期のアレルギーをある程度予防できます。



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