コレステロール悪者説はどこから?
コレステロールは細胞膜の重要な構成成分です。また、ホルモンや胆汁酸の原料にもなります。ヒトはコレステロールなしに生きられず、そのためその60〜80%が体内で合成されています。
今から約40年ほど前、アメリカでは動脈硬化や心筋梗塞などの虚血性心疾患が死因のトップとなり、原因に血液中のコレステロールが疑われはじめました。いくつかの疫学的研究が「血清コレステロール値が高いと虚血性心疾患になりやすい」と報告したことから、成人病の原因はすべてコレステロールにあるかのようにいわれました。その結果、心臓病より脳卒中の方が問題の日本でも、コレステロールは悪者にされてしまったのです。
脳卒中は高血圧や血管の栄養不足が原因であり、むしろ低コレステロール値によって起きる病気といえます。低コレステロールはまた、免疫力を弱め感染症の誘因になることも知られています。実際、コレステロール値は高過ぎず、低過ぎず適度に保つのが健康的で、悪者扱いするのは考えものです。